Nortel: IPv4アドレスの売却 [valuation]
Nortel の2012年第一四半期の決算書には、主要な事業の売却として12項目が挙げられており、その12番目にIPv4アドレスの売却がある。
(xii) the sale of a small number of its Internet Protocol version 4 addresses to various purchasers.
ただし、売却金額については記載されていない。
さらに読み進めていくと、これからおよび今後の債権回収の取組としてIPアドレスの売却についての記載がある。
Internet Protocol Addresses
NNC commenced a process, approved by the Canadian Court, to sell certain residual IT assets primarily consisting of about 17 million Internet Protocol version 4 addresses (IP Addresses) and IT hardware assets including 700 servers. Working together with the Canadian Monitor, Nortels goal is to maximize the value of these residual IT assets in a timely manner. Any definitive sale agreement will require approval of the Canadian Court.
ここでは、NNC (Nortel Network Corp.) が17百万個のIPv4アドレスの売却プロセスを開始したと書かれており、やはりNortelは今もってクラスAアドレスを保持しているようだ。
NNCは、2012年の2月にCablevision Systems Corporationの子会社とSalesforce.comに、4月にBell Aliant Regional Communications, Limited Partnershipに、5月にはVodafone Americas Inc.に、それぞれ少数のIPv4アドレスを売却しているが、詳細な取引条件については、今後の売却に影響があるため裁判所から公開を制限されている。
IPv4アドレスについては、既に通常のプロセスで現在の北米におけるアドレス管理者であるARINから新規の割り当てを受けることはできなくなっているため、ビジネスのうえでアドレスが必要であれば、こうしたレガシーアドレスを有償で調達するということも必要なのだろう。
なお、上記決算書には記載がないが、2011年4月にはマイクロソフトにIPv4アドレス 約67万個を750万ドルで移転している。(裁判所許可、ARINリリース)
Nortel が売却したもの
Nortelといえば、破綻したカナダの通信機器メーカーでその特許ポートフォリオをGoogleやAppleが争ったことが記憶に新しいところです。
最終的に、MicrosoftやAppleを含む6社連合が6千件の特許を45億ドルで競り落としました。(リンク)
ところで、Nortelは負債返済のために、この特許ポートフォリオのほか、全ての事業を売却しており、いまはもう事業を営んではいません。その売却した事業と主な金額は次の通り。(2012 First Quarter Form 10-Q)
対象資産 | 相手先 | 売却金額(百万ドル) | |
1 | CDMA事業およびLTEアクセス資産 | Ericsson | 1,120 |
2 | エンタープライズ・ソリューション事業 | Avaya | 932 |
3 | 次世代パケット・コア・ネットワーク事業 | Hitachi | 10 |
4 | レイヤ4−7のデータポートフォリオ | Radware | 18 |
5 | 光ネットワーク事業およびキャリア・イーサネット事業 | Ciena | 638 |
6 | GSM事業(北米) | Ericsson | 79 |
7 | GSM事業(北米以外)およびGSM for Railways事業 | Kapsch | 36 |
8 | キャリアVoIP事業およびアプリケーション・ソリューション事業 | GENBAND | 156 |
9 | LG-Nortel社株式(50%+1株) | Ericsson | 234 |
10 | Multi Service Switch事業 | Ericsson | 45 |
11 | Guangdong-Nortel Telecommunicatrions Equipment社 | Ericsson China | 56 |
12 | (残りの)特許及び特許出願 | 6社コンソーシアム | 4,470 |
13 | その他(IPv4アドレスを含む?) | 複数 | 6 |
合計 | 7,800 |
こうしてみると、確かに特許ポートフォリオは巨額ですが、その他の事業も実はかなり大きくて、総額では78億ドル、日本円だとざっと6千億円の売却となっていて、Nortelがいかに大きい会社だったかがわかります。
13番目にあるIPv4アドレスの売却ですが、これが売却可能とは知りませんでした。上記リンク先の10-Qには約17百万個のIPアドレスを保有していて、それを最大の金額で売却できるように活動している、などと書かれています。
ちょっと調べてみたら、Nortelは何とクラスAのIPアドレス(047/8: Bell-Northern Research)の保有者だったんですね。(IPv4 Address Space)
ところで、このようないわゆるレガシーIPアドレスが売却可能な資産であるとすると、買った側の会計処理はどうなるんでしょうか。IPアドレスから将来生ずるキャッシュ・フローって見積可能なんでしょうかね。耐用年数は永久として減損テストの対象となるのか。早くIPv6に移行してしまえばこんな悩みはなくなるのでしょうけど。
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- ベンチャー企業への投資(出資、融資)
- ライセンス交渉(一時金、料率)
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- (例外的ですが)担保としての評価
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