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最近の特許ロイヤルティ料率 [license]

特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書について
ちょっと前になりますが、特許庁からいくつかの調査研究報告書がでていて、その中で「(4) 知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究」があります。

ここではアンケートによるロイヤルティ料率の調査結果が載っていて、これは発明協会の実施料率が古くなってしまっている今となっては、貴重なデータになるのではないでしょうか。報告書でも継続的に実施することが提言されているので、これは是非お願いしたいところです。

また、報告書では、マクロレベルの無形資産価値の評価方法として、ストックベースの手法A(株式時価総額+有利子負債−有形固定資産)とフローベースの手法B(研究開発費および広告宣伝費の過去3年分の合計額)を用いて分析しています。

日本企業については、フローでは多額の投資をしているため手法Bでは無形資産価値が大きくなり、他方で手法Aでは相対的に無形資産価値が小さくなっています。

これは、予想通りの結果なのですが、予想と異なったのはこの結果に対する解釈でした。自分ではこの結果は、企業の行っている研究開発費が利益に結びついていないため、株価には反映されず結果としてストックベースでは無形資産の価値は小さくなっている、と理解しました。

ところが、報告書(概要)では、無形資産形成のための投資が株式市場における無形資産に反映されていないことを示唆している、という書き振りになっています。
これを読むと、「株式市場が技術の価値を理解していないため株価が安くなっている」ということになります。このような理解からは、「知的資産報告書を作成し、技術やブランドの価値を体外的に説明することにより、株価を上げることができる」という話になってきます。また、同じ文脈で、技術やブランドの価値を認められれば、融資を受けられる、などの話にもなってきます。

本当でしょうか。

まだ上場していないベンチャーや新興市場の会社であれば、上記のような話もあるかもしれません。しかし、大企業では継続的に研究開発を行い、それを製品化しして販売し利益を得て、さらに研究開発を続けるというプロセスになっています。過去の研究開発が利益に結びついていれば、それば当然に株価に織り込まれるはずです。株式市場はどちらかと言えば、将来の利益に繋がりそうな材料は積極的に評価する傾向がありますので、可能性があれば株価は上がり、可能性がなくなったところで株価が下がる、という形になります。

こうした状況のもとで、過去の研究開発費がどんなに多額であっても、株価に反映されていないということは、過去の研究開発が利益に結びつくとは思われていないということだと思います。そしてそれは、過去10年、20年の実績から日本の企業の研究開発の効率の悪さが株式市場に十分理解されているということなのではないでしょうか。

本報告書は、知財関係者により作成されているため「特許、ブランドには価値がある」というところから出発しているのかもしれません。そして、その価値が十分に理解されていないことが問題だ、というトーンが感じられます。しかし、価値あるものならそこから利益が発生するはずで、遅くとも利益が得られた時点で株価には反映されるものです。
技術やブランドと利益との結びつきを解明するのは難しいのですが、苦労して作った、技術的に高度だから価値があるはず、ということは成り立たず、売れなければ価値がないということを改めて考えて見る必要があると思います。

事前の

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