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リスクを取らないVC「産業革新機構」 [VC]

開店休業「産業革新機構」

昨年7月に設立された政府系ファンド「産業革新機構」が一向にニュースに出てこない。
東京都と一緒に水インフラを海外に売り込むことにも取り組んでいるようだが、東京都はお金があるし、そもそも民間ではないのだから対象外ではないか。

民間案件は、最近ようやくアルプス電気との案件が出てきたが、これだけだ。
(東芝と組んでやった案件は入札で負けている)


この案件では、産業革新機構は全部でたった100億円を出すだけ。それも4回に分けての投資で、最初はまず30億円とのこと。合弁会社の出資割合はアルプス電気73.9%、機構が26.1%でマイノリティ出資にとどまるので、機構に主導権はない。ということは失敗しても機構のせいにはならないということだ。

冒頭リンクの日経ビジネスの記事によると、機構はベンチャー投資を目指して設立されたのに、確実な投資案件を探しているため投資案件が出てこないらしい。そんなリターン確実な案件があれば民間で資金は集まるので、国が出てくる必要はない。国に求められているのは、民間では取れないようなリスクはあるが世界を変える可能性がある案件に大胆にお金をつけることなのではないか。

当初の構想では日本版のIntellectual Venturesを目指して、オープンイノベーション実現を目的とした「イノベーション創造機構」という名称だったはずなのに、いつの間にか大企業も出資する不思議な組織に変わってしまった。個人的には結構期待したのだが、やはり官営組織ではリスクマネーは出せないようだ。


機構の平成21年度決算見込みを財務省の資料で見てみると、なんと初年度の9ヶ月だけで35億円の損失をだしている。実際の投資案件はなしで、組織の立ち上げ、人員の採用、投資案件の調査だけで35億円を使うということだ。そして、平成22年度見込みは、売上高ゼロ、販売費及び一般管理費46億円、支払利息30億円で76億円の赤字だ。

ベンチャー投資だからすぐに利益が出ないのはやむを得ないが、投資しなければ始まらない。

世界を変えようとしているベンチャー企業に投資して欲しい。

必要なのは「規模」ではなく「センス」です。

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「六甲のおいしい水」のお値段は?

アサヒ飲料株式会社による、ハウス食品株式会社のミネラルウォーター事業取得に関するお知らせ
「六甲のおいしい水」事業が53億円で売買されました。

対象事業の2009年3月期の売上高は122億円で、2008年3月期の160億円から大きく減少しており、2010年3月期も国産のミネラルウォーターは概ね前年並みとのことなので、売上高倍率でいえば0.43倍で取引されたことになります。

ハウスの発表によると、売却されるのは「製造工場・採水地(土地・建物・構築物・機械設備等)及び商標権等」とされており、商標権が対象事業に含まれることが明記されています。

他方、アサヒの発表文では「製造及び販売事業(六甲工場、灘採水場の 土地建物設備を含む)」とされていてリリース文には商標権という文字はでてきません。そのかわり、「六甲のおいしい水」をアサヒのブランドとして使用することが明記されており、ブランド力の向上を追求するとしていますので、商標権を譲り受けるのは間違いないようです。

さて、本件の会計処理ですが、売り手側のハウスでは譲渡資産の簿価は5,589百万円で売却額53億円ですから289百万円の売却損となります。発表文でも3億円の特別損失が発生するとしているので、ほぼ整合します。

問題は買い手側のアサヒの方です。「六甲のおいしい水」というのは誰でも知っている著名な商標ですからちょっと考えると大変な価値がありそうですが、ハウスに払う額が53億円で譲り受ける工場や採水場の土地建物設備だけで簿価56億円となっています。これでは商標権の値段はマイナスになってしまいます。

ここで、この4月から適用されている新しい会計基準では、譲り受けた有形固定資産に加えて商標権のような法的権利も取得資産に含めて認識し、取得対価である53億円をこれらの資産に配分することを求めています。
ちなみにいままでの会計基準では、商標権のような無形資産は「資産として認識することができる」という規定だったため、事実上、商標権等の無形資産が資産計上されることはありませんでした。

今回の事業譲渡では、工場等の有形資産はミネラルウォーター市場が厳しい競争状態にあって収益性が限られていることから譲渡前の簿価5,589百万円から相当程度の切り下げ(減損)が必要となると想定されます。

他方、商標「六甲のおいしい水」の方は日本国内において著名な商標であることは間違いなく、単独で事業と切り離した形で他のミネラルウォーター事業者にライセンスしてロイヤルティを得ることも可能(実際にはやらないでしょうが)と考えられるため、譲渡対価の53億円の一定部分は商標権に配分するのが自然ではないかと思えます。

ただし、いままでそのような形で無形資産を認識し対価を配分するという実務がなかったため、これまで通りに固定資産を53億円で買った、という会計処理になってしまうのかもしれません。

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韓国25社、国際会計基準適用へ [IFRS]

日経新聞より

サムスン電子やLG電子、LGディスプレーなど韓国企業約25社は、今年12月期決算から国際会計基準(IFRS)を早期適用する。韓国金融監督院は「企業会計への信頼性を高める」(金豪中=キム・ホジュン=審議委員)狙いから、日本よりも早く2011年から2年間かけてIFRSを段階的に強制適用する予定。サムスン電子などは外国人投資家になじみの深いIFRSを自主的に前倒し採用することで、海外からの投資マネー取り込みにつなげたい考え。

 IFRSは保有株式や海外資産などの価値の変動を反映した「包括利益」を開示するのが特徴。サムスン電子などは第1四半期(1~3月)の業績発表から、IFRSに基づいた内容を作成する予定だ。

いまや世界一のエレクトロニクス企業となったサムスン電子ですが、IFRSの適用でも先行するようです。
日本ではあいかわらず包括利益を巡っていやだいやだと言っているようで、IFRS受け入れを渋っていますが、韓国は一足早く強制適用となります。

会計基準なんてどれが正しいとかという問題ではないのですが、包括利益は保有株式の評価損益がそのまま反映されてしまうため「安定性」が失われるのは必然です。これが何かと「安定」が好きな日本企業には受け入れ難いようです。

また、のれんの定期的償却がないのも現行日本基準とは異なる点になっています。毎期、安定的にのれんの償却費を計上することなく、のれんの価値がなくなっていないかどうか毎期テストして、価値がなくなっていたらいきなり減損損失を形状、というのも安定性を失わせる要素です。

経営陣が安定を求めるのはわかるのですが、資源価格が上下し、為替が当落し、金利が上下する環境のもとでビジネスをしているわけですから、毎期の損益が安定するはずがないのです。10年連続増収増益なんていうのはフィクションであって、かなり強力な意図をもって決算を組まない限り、そんなことにはならないはずなのです。

日本企業も決して実現しない「安定」をいたずらに追い求めて時間を浪費するのはやめて、IFRSを早期適用してもらいたいものです。会計基準によって企業の実力が変わることはないのですから。

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iPhone, iPadのアプリ開発に投資するファンドが1億ドルから2億ドルに資金倍増 [VC]

KPCB Doubles iFund to $200 Million
クライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズ(以下、KPCB)という長い名前の著名なベンチャー・キャピタルがありますが、そこが運営している iFund というファンドの投資額を1億ドルから2億ドルに倍増させたと発表したのは、先月末日、折しもiPadが発売される直前でした。

この iFund というファンドは iPhone OS の上で動くアプリケーションに投資するファンドで2008年に総額1億ドルでスタート、すでに14の会社に1億ドルを投資済で、今回はさらに1億ドルを調達してiPad関連に投資していくという発表でした。
KPCBによると、すでに投資した14社では20以上のiPadアプリが開発されていて、そのうち11はiPadの発売と同時にリリースされる予定になっているそうです。(今はもうきっとダウンロードできますね、iPadさえあれば)
このなかには、ゲームのngmocoや音楽認識アプリShazamも含まれていて、KPCBのキャピタリストの投資先選択の素晴らしさに呆れるくらいです。

翻って日本、世界に3つしかないゲームコンソール(Wii、PS、XBOX)のうち二つを生み出している国ですから、開発能力は間違いなくあるはずです。なのに、iPhone向けゲーム会社にVCが投資したという話はあまり聞きません。ゲーム開発はゲーム機の性能が上がるにつれて映画製作のように巨額の費用がかかるようになってしまいましたが、iPhoneやiPadのゲームは100円から高くても1,000円くらいなので、大金を投じて開発する世界ではありません。大企業では対応が難しい、ベンチャー企業が活躍できるプラットフォームだと思います。

日本でも1社に対して5億円から10億円程度の資金を投資するゲーム開発ファンドがあってもいいのではないでしょうか。ただしその場合、英語版と中国版だけで日本語版はいりません。投資効率が悪いので。

タグ:VC iPad
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iPadに部品すら納入できない日本企業

日経Web版に「日の丸部品、蚊帳の外」という記事が出ていました。
iPad発売日の昨日、さっそくiPadを分解してみると、日本製の部品はあまり入っていないとのこと。

iPhoneも立ち上げ時こそかなりの日本製部品が入っていたようですが、今ではもう台湾製と中国製に取って代わられているということ。供給力でも価格でも競争に負けています。日本で製造業雇用が振るわないのも分かります。

iPhoneでいえば、売上増大に伴って供給を増やす必要があったわけですが、そのためには先行して設備投資が求められます。工場を作ったからといって、Appleが永遠に買い続けてくれる保証はありません。「安定」を旨とする日本企業は設備投資の決断ができなかったのでしょう。

「高付加価値商品で生き残る」とはよく聞く話ですが、これは「価格競争でシェアを取ることは(できないから)せず、小さいシェアでも単価の高い商品で(安定的に)利益を稼ぐ」ということを意味していますが、デジタル製品では高付加価値品でもすぐに大量生産が始まり価格が急落します。だから、安定というものがありません。勝つためには、高付加価値品を安く大量に供給し、それを売り切ってすぐに次の高付加価値品へ移行していくしかありません。

安定したいと思ったらもう負けてしまうのです。デジタル製品には定番商品というものは生まれないのです。不安定かつ不透明な市場で新しいもの、消費者ニーズのあるものを安く大量に売り切り、走りながら次のものを生み出していく、そんな必要があるのでしょう。

日本人、日本企業はとかく「安定」「安心」が好きですが、過度にそれを求めているのではないでしょうか。
安定は停滞を生み、安心は慢心を生みます。
安定と安心をあえて否定し、未知なる世界へ踏み出す勇気が必要です。

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Foursquare がドメイン更新を忘れて一時サービス停止

Foursquare Goes Dark Too. Unintentionally.
Tech Chrunchによると位置情報サービスのFoursquasreのサービスが一時中断していたとのこと。
最近は自分でも一日3回くらいチェックインしているのですが、今日は休みだったのでチェックインなし、で気がつきませんでした。

今は無事にサービス回復していますが、今回のサービス停止の理由はドメインネーム foresquare.com の更新を行わずに期限が切れてしまい、レジストラであるGoDaddy(先日Googleに続いて中国から撤退と発表したとこですね)が取り上げてしまったためなんだそうです。

いまや名だたるVCから投資オファーが殺到している Foursqusre ですが一時的にせよ自社サービスの顔であるドメインネームを失っていたとは驚きです。仮にこのドメインネームがビッドにかけられたとすると、かなりお高くなるでしょうね。ちなみにFoursquareのValuationが8千万ドルとのこと。

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富士通はUS商標権"IPAD"をAppleへ譲渡

アップル、iPad商標を富士通から獲得
iPadの発表時に話題になった富士通の"IPAD"に関する米国商標権は3月17日付けでめでたくApple社にその商標権者が移転しました。
さすがAppleですねー。ライセンスを受けるのではなく、権利そのものを譲り受けてしまうとは。
日本における"iPhone"の販売に際しては、アイホン社が”アイフォーン”についてApple社に使用許諾したんですよね(2008年3月24日)。もう2年前です。アイホン社にとって商標「アイホン」は譲り渡すことはできない商標権ですから、ライセンス許諾がぎりぎりの線でしょう。
それに対して今回は、富士通にとって"IPAD"はさほど重要な商標ではないでしょうし、”IPAD"が富士通製品を示す識別性はほとんどないようです。逆に、いまや世界中の人が"iPad”といえばあの製品を思い浮かべてしまうわけで、iPadはすでに著名商標となっています。この状況のもとで、"IPAD"という商標権を持っていても実質的には使いようがないと思います。結果として、譲渡ということになったのはまあ自然なことだと思います。
気になるのはお値段ですが、富士通にとってはもはや使うことが事実上困難な商標となってしまっている事に加えて、あの現実歪曲空間を発生するJobsが交渉相手では、かなり安い金額で決まったのではないかという気がします。富士通としては、こんな商標でもめるよりも、iPad等のApple社の製品に自社の部品を少しでも多く採用してもらいたいという気持ちでいっぱいでしょう。

結局、先に商標権をとっても、先に著名性を獲得されてしまえば、使えなくなるというおはなしでした。

iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏 (brain on the entertainment Books)

タグ:Apple iPad FUJITSU
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