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特許権を工場財団に組み入れて担保として差し出すシャープについて

シャープ「工場財団」知財も差し出す 主力取引行が土地など一括担保で

すっかり銀行の管理下に入ってしまったように見えるシャープですが、今度は追加担保の差し入れのために工場財団を組成するとの報道がありました。

工場財団とは、工場の土地、建物、機械設備などを一括して「工場財団」としてまとめたもので、工場の所有者が抵当権を設定して借入を受けることを目的に設定するもの(工場抵当法8条1項)です。この法律は、明治38年の法律でいまだにカタカナ混じりで読みにくいです。

工場財団に含めることができるものは以下のとおり(同法11条)で、工業所有権が入っています。

  1. 工場に属する土地および工作物
  2. 機械、器具、電柱、電線、配置諸管、軌条その他の付属物
  3. 地上権
  4. 賃貸人の承諾があるときは物の賃借権
  5. 工業所有権
  6. ダム使用権

工場財団を組成する際には、必ずしも工業所有権を含める必要はありませんが、仮に、特許権や商標権といった工業所有権が工場財団に含まれることになった場合には、特許登録簿に当該特許権等が工場財団に属することとなった旨が登録され、以後、個別に譲渡、差し押さえ、仮処分などをすることができなくなります(同法13条2項)。

ここで、賃貸をする場合には抵当権者の同意が必要(同法13条2項)とありますので、実施権の許諾がこれに準ずる扱いになるとすると、既存のライセンス契約や今後のライセンス契約については銀行の許諾が必要になります。

また、工場財団から一部のものを分離する際にも、抵当権者の同意が必要です。

ちなみに、工場抵当登記規則12条2項を見ると、工業所有権についての専用実施(使用)権、通常実施(使用)権も財団に含められますので、他社からの許諾を得て実施している特許権等については、個別に列挙して工場財団に含めることも可能です。工場の操業継続に必要なものという意味では、ここまで取り込む必要があるかもしれません。


今回の場合は、財団に組み込まれる工場の操業に必要な特・実・意・商の各権利は全て差し出せと銀行から強要されるものと思われますが、特許権も商標権もその数が膨大なので、組み入れるものを選定して目録を作成するだけで大作業です。

鴻海との交渉は進展していないようで、インテルが欲しいものをシャープが提供できるかどうかわかりませんが、もしシャープの魅力が知的財産権にあるとしたら、それが工場財団に組み込まれて(採算の取れない工場)不動産と一体化して銀行の担保に取られてしまうのは、交渉上困ったことになるかもしれません。

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IP Valuation 特許事務所
松本 浩一郎
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