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お菓子メーカーの海外戦略とブランド

ちょっと前(9/20))にカルビーが北米で「Jagabee」を販売するというニュースが出ていましたが、今度は江崎グリコがベトナムで「ポッキー」を販売するというニュースが出ました。

カルビーのニュースリリース

江崎グリコのニュースリリース

いずれも伸び悩む国内市場から海外へ出ていくという話なのですが、その戦略は大きく異なったものとなっています。

カルビーの進出先は、世界一大きい北米市場であり、2019年3月期までに売上高500億円を目標としています。

他方、江崎グリコの方は、成長著しいベトナム市場であり、2016年度に約40億円の売上高を目指しています。なお、日経速報ニュースによると、ベトナムの菓子市場規模は約300億円で、年に20〜30%成長しているとのことです。

マーケティングについては、カルビーは資本提携先のペプシコグループが北米での独占権をもって販売とマーケティングを行うこととなっており、東洋経済オンラインの記事によると当面はフリトレー社のブランドが付されて、例えば「フリトレー・ジャガビー」として販売されることになるようです。

カルビーは1970年から北米市場において独自に現地生産・販売活動を行なっていましたが、2012年3月期の売上高はわずか16億円と苦戦しており、同市場において「Calbee」ブランドはいまだ知名度もなく、すなわち顧客吸引力も獲得していないものと思われます。

そこで、カルビーは自前主義を改め、資本提携先(カルビーの20%株主)であるペプシコの販売網とブランドを使って、自社の高い製造ノウハウの詰まった「Jagabee」を売り出す戦略をとったということです。製造はするけど販売は任せるという立場ですね。

資本提携で出資を受けると、外資に買収されたなどと言われがちですが、カルビーの場合には20%というマイナー出資であり、しかも筆頭株主は僅差の21%ながら創業者一族の株主会であることから、お金だけ出させてあまり支配は受けないという形になっています。北米で「Calbee」ブランドを浸透させることはできませんが、フリトレーブランドの販売網で「Jagabee」を売り出せるのは非常に効果的ではないかと思います。

次に、江崎グリコの方を見てみますと、こちらは現地で強力な販売網をもつ企業と資本提携を結んで、現地企業の10%株主となった(つまり、江崎グリコがお金を出す側)うえで、ブランドは「Glico Pocky」として売り込んでいくという形です。製造についてももちろんグリコ自身がタイにある子会社で行うということで、販売網だけ現地提携先の協力を得て、自社ブランドの浸透を図るという形ですね。

いずれの会社も、海外進出という企業戦略を達成するために、自社に足りないリソース(ブランド、販売網、マーケティング)を自社がもっているリソース(製造技術・ノウハウ、資金)を出すことによって補っているということがいえます。

事業戦略を実行するために知的財産をどのように活用するかを考える上で参考になる事例だと思います。

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IP Valuation Patent Office
www.ipval.net

Koichiro MATSUMOTO
kmatsu@ipval.net
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