イノベーション創出セミナー 第一回 @新丸ビル [valuation]
一昨日ですが、のこのこと新丸ビルまで出かけて、SFC主催、IV共催のセミナーに参加してきました。
・パネルディスカッション
パネリスト
【起業家:イノベーター登壇者】
AISSY株式会社 代表取締役社長 鈴木隆一氏
TechnoProducer株式会社 取締役 楠浦崇央氏
(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科 特任講師
【投資家・インキュベータ:イノベーター支援登壇者】
インテレクチュアル・ベンチャーズ 平手純司
SFCインキュベーションマネージャー 廣川克也
コーディネータ 慶應義塾大学総合政策学部長 國領二郎
主催|慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザインラボ
共催|インテレクチュアル・ベンチャーズ
協力|慶應藤沢イノベーションビレッジ
全4回シリーズのセミナーの第一回。全体的なテーマは「いかにイノベーションを生み出すか」で、今回は成功事例についてのディスカッション。
いろいろと話しはあったのですが、AISSY(ところで、これをアイシーと読ませるのはちょっと無理。)の鈴木社長の発言が印象に残りました。例えば「技術をやっている人がビジネスに興味を持って欲しい」「大企業は運営が民主的なので、無難なものしか作れない。尖った技術は出てこない。」との意見は大いに共感できました。イノベーション創出とはそれまでの常識の否定が求められるので、合理的な反対意見がたくさん出てきます。それを押し切るだけの思い込みを持たないとイノベーターにはなれないのでしょう。また、どんな優れた技術でも使われなければ価値を生み出すことはありません。仮に特許を取得できたとしても、その特許が実施されなければ価値はゼロです。技術者は「世界を変える」との思いでマーケティングや契約といったことにも興味を持って欲しいです。
他方、会場の方からでていた「大学にはシーズがあるが、それをニーズに結びつける目利きが必要だ」との話は、正直また「目利き」かという印象です。イノベーションの話では必ず出てくるこの目利き必要論なのですが、こんな神様みたいは人はいない、というところから議論を出発させなければいけないと思います。目利きがいないからイノベーションが起きないということではなくて、イノベーターは「これで世の中を変えたい」という思いに突き動かされているのだと思います。イノベーターは「目利き」ではなく信念の人であり、そのような人を応援、支援する仕組みがイノベーションを促進するのです。
あと、大企業の役割が話題に上がっていましたが、これについては梅嶋さんの「どんどんベンチャーを買って欲しい」という意見が良かったです。これも、買い取るには目利きが必要だ、などという話になりがちなのですが、限られた研究開発費で最大の効果を得るためには、社内に世界最高のものがすべて揃っているのでなければ、社外の知恵も活用するのが合理的です。大企業は、民主的かつ合理的な意思決定によって、毎年一定額は社外の技術を獲得するという方針を決定して欲しいです。
どうすればイノベーションが生まれるか、についてはもちろん結論は出ないのですが、國領さんが種を蒔き続けたSFCは起業マインドの醸成機関として着実に成果を出してきていると感じました。身近に企業した人がいることが、企業へのハードルを下げる一番の要因だと感じます。SFCは、スタンフォードとはまた違う日本のベンチャー育成装置として今後も楽しみです。
ところで、本セミナーはインテレクチュアル・ベンチャーズ社が共催で、冒頭ではあの加藤様が日本総代表として挨拶されていました。その事業運営について評価が別れる同社ですが、セミナーの席上では良くも悪くも話題には出ませんでした。日本ではまだまだ知られていないのかもしれません。
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