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地域団体商標の状況 [valuation]

いわゆる地域ブランドを商標法によって保護するために、今から6年あまり前の2006年4月1日から地域団体商標制度が導入されました。

それまでは、すでに全国的な知名度を獲得しているブランド名(例:夕張メロン)でなければ、「地名+商品名」という商標について商標登録を受けることができなかったのですが、地域団体商標制度の導入によって一定範囲の需要者(例えば、隣接都道府県に及ぶ程度の需要者)に認識されていれば、「地名+商品名」で登録を受けることが可能になったのです。

現在(2012年7月6日まで)のところ、約1000件の出願があり、そのうち約500件が地域団体商標として登録されています。特許庁のウェブサイトには「高い関心を集めています。」と書いてありますが、年度別の出願件数の推移を見ると、初年度の2006年度に698件と大量の出願があった後は、2007年度110件、2008年度71件、2009年度54件、2010年度48件、2011年度31件と残念ながら毎年着実にその数を減らしてきています。どうやら「高い関心」は薄れてきているようです。

出願減少の理由については推測の域を出ませんが、地域団体商標の出願主体は農協等の組合に限られているうえ、不当に構成員たる資格を有する者の加入制限をしてはならないなどの要件もあるので、なかなか出願までに至らない場合も多いものと思われます。また、複数の団体が同じブランド名を使用している場合にはどちらも単独では登録できないので、地元をまとめる事ができない場合もありそうです。

また、登録したからといって、急に知名度が上がったり売上が上がったりするわけではないので、導入初年度にはあわてて登録してみたものの、それ以降はあまり積極的には取り組んでいないところが多いのかもしれません。仮に登録しなくても、地域ブランドというものの性質上、他の人に先取りされてしまうということも考えにくいため、登録のメリットが見えにくいことも登録減少の理由の一つかもしれません。

とはいえ、地域ブランドを商標登録すると組合員の中ではそのブランド名を大事にしようという気持ちが出てくるのは間違いないと思いますし、実際にだんだん知名度が上がってきて、他人が紛らわしい商標を使い始めた時にこそ登録の効果が発揮されるので、もっともっと利用されてもいい制度だと思います。

というわけで、自分の地元北海道の登録状況を見てみると、以下のとおりわずか19件しか登録されていません。道東地域の登録が目立つ中、道南からは全く登録がないのはどうしたんでしょうか。函館を含む道南地域にも特産品はたくさんあるので、ガゴメ昆布などは登録されているのかと期待していましたが、まさかゼロとは。特許庁では無料で制度説明の講師派遣を行なっているので、地元関係者のかたは一度コンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。


商標よみがな出願人
1十勝川西長いも (とかちかわにしながいも)帯広市川西農業協同組合 
2鵡川ししゃも (むかわししゃも) 鵡川漁業協同組合
3豊浦いちご (とようらいちご)とうや湖農業協同組合
4はぼまい昆布しょうゆ (はぼまいこんぶしょうゆ)歯舞漁業協同組合 
5大正メークイン (たいしょうめーくいん)帯広大正農業協同組合 
6大正長いも (たいしょうながいも)帯広大正農業協同組合
7大正だいこん (たいしょうだいこん)帯広大正農業協同組合
8苫小牧産ほっき貝 (とまこまいさんほっきがい)苫小牧漁業協同組合 
9幌加内そば (ほろかないそば) きたそらち農業協同組合 
10虎杖浜たらこ (こじょうはまたらこ) 胆振水産加工業協同組合
11ほべつメロン (ほべつめろん) とまこまい広域農業協同組合
12十勝川温泉(とかちがわおんせん)十勝川温泉旅館協同組合
13めむろごぼう(めむろごぼう)芽室町農業協同組合
14めむろメークイン(めむろめーくいん) 芽室町農業協同組合
15大黒さんま(だいこくさんま) 厚岸漁業協同組合
16十勝和牛(とかちわぎゅう) ホクレン農業協同組合連合会
17北海道味噌(ほっかいどうみそ)北海道味噌醤油工業協同組合
18東川米(ひがしかわまい)東川町農業協同組合
19びらとりトマト(びらとりとまと)平取町農業協同組合

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